実在したアメリカ屈指の超常現象研究家であり、ゴーストハンターとして活躍したロレイン・ウォーレン夫妻。
そんな夫妻の身に降りかかった恐ろしい事件ドラマ化したシリーズが『死霊館』ユニバースです。
この『死霊館』ユニバースは、「Based On The True Story(実話に基づいた物語)」なのです。
ですが、すべてが全て実話なのでしょうか?
そこで本記事では、『死霊館』ユニバースの裏に隠された実話を紹介していきます。
まだ『死霊館』ユニバースを観ていないという方は、まずは視聴してから本記事を読むことをオススメします。
『死霊館』ユニバースは恐ろしい実話が基になっている⁈
『死霊館』ユニバースは、シリーズを通してウォーレン夫妻が遭遇した邪悪な事件をベースに描かれています。
本編(死霊館シリーズ)はウォーレン夫妻が実際に調査してきた事件を映像化しており、その他の作品はウォーレン夫妻が遭遇した幾つかの実体の起源に焦点を当てた作品となっています。
なので、『死霊館』ユニバースは次のように分けることができます。
死霊館シリーズ
- 死霊館(2013)
- 死霊館 エンフィールド事件(2016)
- 死霊館 悪魔のせいなら、無罪(2021)
アナベルシリーズ
- アナベル 死霊館の人形(2014)
- アナベル 死霊人形の誕生(2017)
- アナベル 死霊博物館(2019)
シスターシリーズ
- 死霊館のシスター(2018)
- 死霊館のシスター2(未定)
スピンオフ作品
- ラ・ヨローナ〜泣く女〜(2019)
- The Crooked Man(未定)
特に『死霊館』シリーズは、ほぼ実話に則った作品となっており、どれも恐ろしいものとなっています。
逆に『アナベル』シリーズや『シスター』シリーズは実話に基づいておらず、殆どフィクションとなっています。
なので、本記事では『死霊館』シリーズをメインに紹介していきます。
まずは、『死霊館』ユニバースでキーとなってくる「ウォーレン夫妻」と「アナベル人形」について抑えていきましょう。
エド&ロレイン・ウォーレン夫妻は実在する心霊研究家
本作の主人公、エド&ロレイン・ウォーレン夫妻は1960年代から怪奇現象を解決してきた実在する夫婦です。
アメリカを中心に世界中の怪奇現象の解決に挑んだ夫婦で、映画に登場した呪われた遺物も実際に収集していました。
ロレイン・リタ・ウォーレン |
Lorraine Rita Warren |
1926年9月7日 – 2006年8月23日 |
透視、霊能力 |
エド・ウォーレン・マイニー |
Edward Warren Miney |
1927年1月31日 – 2019年4月18日 |
悪魔学、作家、講師 |
ウォーレン夫妻の軌跡(全て実話です)
エド・ウォーレンが16歳の時、コネチカット州ブリッジポートの「コロニアルシアター」で案内役として働いていました。そこはロレインと彼女の母親が常連客として訪れており、そこで2人は出会い、交際を始めました。
エド・ウォーレンが17歳の誕生日、海軍に入隊し、船が北大西洋に沈む前の僅か4ヶ月間だけ乗船していました。
エドの船が沈んだ後、30日間だけ家に戻ってきていました。そこでエドとロレーヌ結婚し、ウォーレン夫妻になりました。
エドとウォーレンが結婚して5年後、2人の間にジュディ・ウォーレンという娘が産まれる。
エドは第二次世界大戦中に海軍での奉仕を終えた後、イェール大学の美術学校に入学しました。
『死霊館 エンフィールド事件』で悪魔シスター・ヴァラクの絵を描いていた通り、例に関する絵を主に描いていました。
エドの超常現象に対する関心は絵画やデッサンを超え、幽霊が出たという報告の度に調査に乗りだしました。
エド&ロレーヌ・ウォーレンが始めた超常現象と悪魔の実体の調査は今でも受け継がれています。
看護学生であるドナに誕生日プレゼントとして母からもらったラガディ・アン人形。当時、ドナはルームメイトのアンジーと一緒に住んでおり、その部屋には男友達のルーも訪れていました。
人形が家に来てから数日後、ドナとアンジーはラガディ・アン人形が彼女が見ないうちに異なる位置に移動していたり異変が起こり始めます。
気味悪がった友人のルーは、この人形を燃やすことを提案しますが、ドナとアンジーはルーをからかうばかりで、人形をそのままにしていました。
しかし、今度は「ルーを助けて」と書かれた羊皮紙が家の中で見つかるなど異変は続きます。
これらの超常現象を霊媒師に相談すると、アパートが建てられる前に財産で命を落とした当時7歳の少女アナベル・ヒギンズの精神が入っていることを知ります。
そしてアナベルは霊媒師曰く、ドナとアンジーのそばに居たいと考えているというのです。
2人は職業柄か、霊に取り憑かれた人形を受け入れてそのまま部屋に置いておくことにしました。
そして人形は悪意のある恐ろしい行動を示し始めます。
ある夜の11時頃、誰かが部屋に侵入したかのような音が聞こえます。
様子を見に行ったルーは、音のする部屋にアナベル人形を見つけると、人形に近づいていきます。
その時、後ろに気配を感じて振り返っても誰もいません。
ですが、ルーは胸に激しい痛みを感じ、シャツは血が滲み、目に見えない7つの爪痕が胸に残されたのです。
こうしてウォーレン夫妻が呼ばれ、アナベルの名前を利用した悪魔に憑依されていると宣言しました。
家に持ち帰ったウォーレン夫妻ですが、アナベル人形はそこでも場所を点々とし、特製のガラスケースに封印され、オカルト博物館に納めることになりました。
ロードアイランド州ハリスビルにあるペロン一家の家は、19世紀初頭から魔女バスシーバ・シャーマンに悩まされたと言われています。
伝説によると、バスシーバ・シャーマンは死ぬ前に自分の土地に入った人を呪い、ロープを使って自分の命を絶ったと言われていますが、「彼女が亡くなったときに体が石に変わった」「石を困惑させるほどの麻痺に苦しんだ」「73歳で老衰によって死んだ」といった主張もあります。
ペロン一家はそこで人生で最も恐ろしい年を過ごし、孤独で呪われた家で起こる超常現象を目撃することになります。
まずは箒が無くなったり、誰もいないのにヤカンを擦る音が聞こえたり、掃除された台所の床の中央に土の山があるなど、小さな異変から始まりました。
キャロリン・ペロン夫人は、家が何世代に渡って恐ろしい状況下で亡くなっていることがわかります。
そしてキャロリン・ペロン夫人は首が折れたように見える女性に怯えはじめます。
こうしてウォーレン夫妻が訪れ、家の中での不気味な出来事はバスシーバ・シェーマンでの仕業だと判断しました。
ニューヨーク州アミティビルにあるオーシャン・アベニュー112番地。
閑静な住宅街に家は殺人事件現場、そして怪奇現象事件の舞台となったのでした。
まず、1974年にロナルド・デフェオ・ジュニアは、家族が寝ている隙に両親と4人の弟妹をライフルで殺害。
ロナルド・デフェオ・ジュニアは後に「頭の中にいる何者かの声に『殺せ』とせき立てられていた」と主張しました。
ちょうど1年後、ラッツ一家が洋館を購入するも、わずか28日で家を後にしています。
入居時に念の為、カトリック聖職者のラルフ・J・ペコラーロ神父が聖水を撒いて家を清めに来た所、彼には「出ていけ」との声が聞こえ、さらに焼印の火傷を負ったと言います。
ラッツ夫婦は不安が残るものの、家に住み始めるのですが、すぐに怪奇現象に見舞われます。
ジョージ・ラッツは悪魔に攻撃され、妻がベットから浮かび上がるのを目撃し、娘のエミーはジョン(ロナルド・デフェオ・ジュニアに殺された一家の1人)という友達ができたと両親に報告しています。
その5ヶ月後、心霊研究家であるウォーレン夫妻がテレビ番組内で検証を行います。
そして番組内で「悪意のある魂に苦しめられている」と証言し、実際に動画内でもジョンが写っていました。
ですが、『アミティ・ビル・ホラー』の著者であるジェイ・アンソンによる完全なフィクションであり、ラッツ夫婦の証言も嘘であったと判明しています。
当時、ラッツ夫婦は経済的困窮しており、ロナルド・デフェオ・ジュニアが持ちかけた「悪魔が棲みつく家としての怪談話」という嘘にのったのです。
これは弁護側に有利に働く言い分で、デフェオ・ジュニアの刑期が軽くなると考えたのです。
さらにラッツ夫婦は怪現象の体験談を出版することで多額の収入が見込めたのです。
こうして怪現象は嘘であったのですが、アミティビルには本物の悪霊がいたことをウォーレン夫妻は語っています。
さらに2013年にラッツ夫婦の息子であるダニエル・ラッツが「あれは真実だった」と語っているのです。
エンフィールドのポルターガイスト事件は、イギリス・ミドルセックス州のエンフィールドで起きた邪悪で恐ろしい事件です。
まず、ホジソン一家を襲った怪現象は些細なものでした。
誰もいない部屋から家具が動くような音が聞こえたり、正体不明のノックオンが聞こえたりするのです。
母のペギーは泥棒が家の周りを彷徨いていると警察に通報するも、駆けつけた警察官2人も壁の奥からのノックオンを耳にしますが、怪現象を目の当たりにし、警察の手に負えない事象として捜査を終了してしまうのでした。
ですが、怪現象はエスカレートしていき、実害を伴うような現象が起き始めたのです。
こうして超能力者・心霊研究か・ジャーナリストなどが調査に乗りだし、録音テープ・写真・動画・目撃証言など、約1,500以上の証拠が今でも記録されています。
ですが、ポルターガイスト現象の中心にいた次女ジャネットの自作自演の怪現象もあり、エンフィールド事件の信憑性が疑われましたが、ジャネットが誰を頼りにするべきかを試した行動だったと言われています。
とはいえ、ポルターガイストの全てが怪現象ではないことが判明し、デマや捏造だという意見が増えたわけですが、現在、エンフィールド事件は観測史上、最も信憑性の高い心霊事件だと言われています。
ウォーレン夫妻は100以上の悪魔の活動の調査をし、各場所から遺物・アーティファクト・証言などを収集しました。
ウォーレン夫妻が収集した悪魔の存在に付随する遺物を収集した博物館が設立されました。
館内映像もYouTubeにありますので、是非、時間がある時に視聴してみてください。
呪いのアナベル人形は実在する⁈
『死霊館』ユニバースのキーパーソンである”アナベル人形”。
先ほど紹介した通り、”アナベル人形”は実在します。
実際のアナベル人形は、アメリカのコネチカット州にあるウォーレン・オカルト博物館に保管されており、月に2回、神父によって清められています。
現在も同博物館に展示されているアナベル人形のケースには、次のように注意書きが貼られています。
しかし、ウォーレン夫妻によれば注意書きを守らずに危害を加えた人たちがおり、彼らは悲惨な運命を辿っています。
- ケース①|ガラスケースをバンバン叩き、「危害を加えられるものならやってみろ!」と挑戦した男性。
-
その帰り道、バイクごと木に衝突して即死。
- ケース②|悪魔より神の方が偉大であるとし、アナベル人形を放り投げた神父。
-
帰り道にトラック事故に巻き込まれる。
※神父は一命を取り留めましたが、事故の直前にバックミラーに人形が映ったと証言しています。
そんなアナベル人形は、ウォーレン夫妻が所有する遺物の中で、最も恐れられる存在です。
『死霊館』はどこまでが実話?
死霊館 |
The Conjuring |
公開日 2013年7月19日 |
再生時間 112分 |
『死霊館』実話と同じ点
まず、『死霊館』で描かれた怪現象は実際に起こっていた事件です。
土地を呪った魔女バラシーバ・シェーマンの犠牲者の霊が現れたり、霊が出現する際に匂う腐敗臭、椅子が宙に浮くなども事話とされています。
詳細は世間に明かされていないものの、脚本を監修したロレイン・ウォーレンとペロン一家の長女であるアンドレア・ペロンが、『死霊館』で描かれた怪現象は実際に起きた事件に沿っており、過剰な脚色がないことを認めているのです。
『死霊館』フィクション箇所
ただ、過剰な脚色がないとは言え、フィクション箇所も存在します。
例えば、ウォーレン夫妻が劇中のような悪魔祓いを行わなかったということ。バラシーバ・シェーマンが魔女であったか不明で死因も分かっていない。この2つがフィクションではないかとされています。
実際、死霊館の舞台となった家の現所有者は、今も奇妙な出来事が起こっていると答えておりますが、悪意があるようなものではないと言います。
また、バラシーバ・シェーマンが悪魔と取引したことは事実のようですが、証拠はなく、さらにバスシーバ・シャーマンの死因も不明です。
首吊り自殺というのが有力ですが、実際は伝説に包まれているのでした。
『死霊館 エンフィールド事件』はどこまでが実話なのか?
死霊館 エンフィールド事件 |
The Conjuring 2 |
公開日 2016年6月10日 |
再生時間 133分 |
『死霊館 エンフィールド事件』実話と同じ点
エンフィールド事件は『死霊館』ユニバースの中で最も実話に基づいている映画とされています。
1977年8月から2年2ヶ月に渡って続いた事件で、当初は英国心霊調査協会のモーリス・ダロスとガイ・ライアン・プレイフェアの2人で調査していました。
彼らの調査期間中だけでも1,500件以上の怪現象が記録され目撃者も多数います。
さらに劇中でも描かれた、ジャネットが水を口に含みながら老人の声を発するのかという実験も実際に行われています。
また、ジャネットの自作自演も実話の話ですが、劇中のように霊に脅されて自作自演を行なったわけではなく、信用できる人物を見定めるため行動だったと言われています。
なので、エンフィールド事件は嘘だという声もありますが、1,500以上の証拠が確認されているという事実があるため、最も信憑性の高い心霊事件であることに違いはないでしょう。
『死霊館 エンフィールド事件』フィクション箇所
『死霊館 エンフィールド事件』に登場する悪魔ヴァラクやへそ曲がり男は登場しておらず、さらにウォーレン夫妻の調査期間も1日程度だったと言われています。
さらにウォーレン夫妻が怪現象を止めたわけではなく、2年後に怪現象が突然止まっています。
家族は何も対処をしなかったと主張しており、ウォーレン夫妻が策を講じたわけではありません。
なので、ポルターガイストの原因も結局わからずじまいです。
『死霊館』ユニバースは実話からスタートした作品
本記事では、『死霊館』ユニバースが実話なのかを解説してきました。
まとめると、『死霊館』シリーズはほぼ実話を忠実に再現した作品です。
それ以外の『アナベル』シリーズや『シスター』シリーズは、殆どフィクションとなっています。
ですが、『アナベル』シリーズは実在するアナベル人形が心霊現象を引き起こす映画であり、『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』は中南米に実在する怪談話を映画化したように、実話に近いストーリーとなっています。
また、『死霊館』シリーズ最新作『死霊館 悪魔のせいなら、無罪』も、1981年に起こった実話『アルネ・シャイアン・ジョンソン裁判』に基づいた作品です。
なので、筆者が『死霊館 悪魔のせいなら、無罪』を視聴してから、どこがフィクションなのかを補足追加していきます。
今回は以上です。
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